インターフェース体験

最近は「直感的なインターフェース」というのが流行りなのか、iPod touchを始めとするApple製品から始まり、インターフェースが語られる場所ではよく見かけるキーワードとなっているようです。しかし私は、インターフェースにとって直感的な操作方法を提示する事は必要な事ではありますが、それよりもインターフェースを操作したときの「体験」の方が重要だと最近考えています。

例えば、iPodのクイックホイールです。これはよく直感的な操作だという意見が見られますが、決してそんな事はないでしょう。少なくとも、私が最初にiPodと手にしたとき、操作方法が数分わかりませんでした。我々は、ボタンを押して操作するというのが当たり前になりすぎています。何も知らない人がiPodを手にしたとき、クイックホイールを指でなぞって操作できる人は、一体どれだけいるでしょう?私には到底直感的に操作方法がわかるとは思えません。

先ほどiPodの操作が数分わからなかった書きましたが、私が操作できるようになるまでに何があったのでしょうか。それは、インターフェースの体験と学習です。iPodを手にした私は、ボタンで操作する事に疑いの余地もなかったので、ボタンを押して項目を選択しようとしていました。しかし思った通りに操作する事はできません。どうすればいいのだろうかと、しばらくいじっていると、ある事に気がつきました。ボタン上で指がずれたときに、選択されている項目が連動して動くのです。もしかして、ボタンを押してまわすのかと思って最初はやったものの、すぐに指でなぞって操作する事に気がつきました。

ところで、iPod touchはインターフェース体験と、直感的な操作の両方を実現している、すばらしいインターフェースです。つい最近、ようやく私もiPod touchをお店の展示品で操作させていただきましたが、確かに直感的と言えるにはふさわしい操作をすることができます。しかし、それ以上に大切なのは、その直感的な操作を体験させるインターフェースにあると思うのです。例えば、スクロールのフリック操作ですが、いくら直感的な操作だとしても、もし画面が指に合わせて動かなかったらどうでしょうか?動作が正しく伝わっていないのかと思ったり、そもそも操作することが面白くなく、ただの指で操作する事できる珍しい製品として幕を閉じていた事でしょう。

MacがWindowsより優れている事について、よくインターフェースが挙げられます。しかしながら今日、両方のOSを見比べてわかる通り、ほとんど似通ったものです。メニューバーが固定、それともドキュメントウィンドウに付くか、そんなことは些細なことで、その人の嗜好によるのではないかと思ったりします。このように、インターフェースを見ているだけではMacの優位性を語ることなど難しく、むしろWindowsの方が優れている部分も十分にあるのではないかと思います。

しかし私は、先に述べたインターフェース体験の部分ではWindowsよりMacの方が優れていると考えています。例えば、どちらのOSもアプリケーションを起動する方法は一緒で、アプリケーションアイコンをダブルクリックします。このとき、Windowsの場合、画面に即座に変化がありません。対してMacは、即座にアプリケーションアイコンがDockで飛び跳ねて、起動しているという状況を表してくれます。アプリケーションを多重起動してしまった経験は、誰にでも一回はあるでしょう。

また、ウィンドウをドラックしてみましょう。ウィンドウをドラックしているのに、ウィンドウが動いてくれない、そんなことはないでしょうか?右クリックをしているのにメニューが出てこない。タスクバーでウィンドウを選択しているのに切り替わらない、さらに、いつの間にか二回以上押していて、ウィンドウがタスクから出たり入ったりする。そんなことはないでしょうか?対してMacは、いくらアプリケーションがおかしな状態でも、ウィンドウの動作はいつだって滑らかです。ウィンドウがドラッグの操作についていけない場合など、そうそうありません。また、タスクの切り替えもスムーズで、目的のウィンドウになかなか切り替わらないなんてことは、よっぽどの事でない限りありません。

Macは、ユーザーがインターフェースに対して行った操作を即座に画面上に反映し、インターフェースの体験をさせてくれます。この体験こそが、インターフェースの学習を容易にさせ、また、インターフェースに対するストレスの軽減、そして見た目だけでは語れないMacのインターフェースの使いやすさに繋がっているのだと思うのです。

Mac OS X Leopardは、Core Animationと呼ばれる重要な技術が追加されました。これはスムーズなアニメーションを簡単に利用できる技術で、iTunesのCover Flowから始まり、さまざまなところで活躍しています。この技術はもちろんデベロッパも自由に利用でき、インターフェースの体験を作る事に大いに貢献する事でしょう。

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